探偵コラム

夫婦問題2020/10/22

シングルマザー・ファザーになる前に知っておきたい 養育費の相場

パートナーと別れる際、さまざまな悩みが浮かぶと思います。
その中でも経済的な問題は頭を抱える方も多いです。

今回は離婚前後でトラブルとなりやすい養育費と、その相場について理解を深めていきましょう。

法律で保障されている?養育費を十分に受け取る権利

婚姻関係にまつわる決断は、どれも大きなものです。

その中でも、お子さんを育てるために必要となるお金、養育費については気がかりな方も多いはず。「結婚相手と別れたいけれど、子供を養えるかわからない」「気が弱いから、養育費を払ってもらえなくてもそのままにしてしまいそう」などといった悩みもありますよね。

安心してください。実は、十分に養育費を払うことはで義務付けられているんです。また、養育費の見直しも行うことができます

よく使われる呼称・単語

詳しく見ていく前に、まずは重要な単語の解説をしていきたいと思います。大前提で、「養育費」とはなんでしょう。
「養育費」とは、子供の監護や教育のために必要な費用のことです子供を育てる際にかかるお金のことを指すんですね。

(「法務省から引用)

離婚後、子供を育てていくのが監護親、つまり養育費を受け取る権利者となります。これに対して、子供を育ててもらう方が非監護親、すなわち養育費を払う義務者となります。

これは他サイトを閲覧する際にも頻出する単語ですので、ぜひ抑えておいてください。

養育費をもらう権利と養育費をはらう義務

ここでは養育費にまつわる権利と義務を説明していきます。

非監護親の義務者には、生活保持義務が発生します。生活保持義務とは、未成年の子供のことを義務者と同じ生活の水準と同程度に維持しなければならないというものです。

例えば、義務者が大学を卒業していれば、子どもが大学に通う学費までは扶養する義務が生じます。離婚していても、親子であれば生活保持義務があることになります。

対して監護親の権利者には、定期金債権を基本的には得ることになります。定期金債権とは、その名の通り定期的に金銭を受け取る権利です。

養育費請求権はこれにあたります。他にも例えば、利息請求権や年金受給権も当てはまるような権利です。

このように、両者に義務と権利が発生しています。次は、法律から生活保護義務と定期金債権をみていきましょう。

民法で守られている養育費

子どもに義務者と同程度の生活を保障する生活保護義務と、監護親がお金を受けとる権利である定期金債権、ついでに養育費にまつわる法律は民法にいくつか存在します。

なんとなくでも覚えておくといざという時に役立つかもしれないので、みておきましょう。数字の若い順で掲載しています。

民法168条 (定期金債権の消滅時効)

定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する

一 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から十年間行使しないとき。

二 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。

定期金債権については、民法では時効について記載されています。今年時効にまつわる法律がいくつか改正され、時効の期間が変更するなどしており、改正前の民法を誤って確認しないように注意が必要です

とにかく養育費を受け取りたい場合は、必ず168条で定められた期間内で行動することをおすすめします。

2 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる

こちらは、文の通り、時効の更新ができるような承認書のやりとりが可能であることの記載です。

民法169条(定期給付債権の時効)

確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。

こちらも改正により期間が長くなりました。扶養料をはじめ、利息や賃料、年金などが当てはまります。

2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。

民法730条(生活保持義務)

直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

民法752条(生活保持義務)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

(婚姻による成年擬制)

こちらの二つの法律は、夫婦間や血族間でのたすけあいを求める法律となります。

*民法752条などは夫婦であることが前提なので、未婚のシングルマザーなどが相手に生活保持義務を求める場合は、相手に法的に父親として認識されるような手続きが必要になります。

民法766条(養育費の分担)

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない

ここで、養育費の分担について細かい記載があります。後々ふれますが、ここでの協議で公正証書という取り決めの証明がないと、いざというときに義務者に請求できなくなります(または証拠を集めるのに相当な負荷がかかります)ので、注意が必要です。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる

ここでは、家庭裁判所が場合によっては介入できるとの記載があります。家庭裁判所では、養育費調停や履行勧告、履行命令を下せたり、養育費を支払ってもらうための強制執行ができます。

4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

(離婚による復氏等)

民法880条(養育費の見直し)

扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

(扶養請求権の処分の禁止)

これは、養育費の増減を見直すことができることを記しています。

(いずれも「電子政府の総合窓口e-gov」から引用 )

以上が養育費にまつわる民法になります。養育費を払う義務や受け取る権利が法律で守られていることが理解されれば十分です。

シングルマザーの子育て事情はどうなっている?

次は、実際の子育て事情を経済面から紹介していきます。片親になることでかかる負担を知っていきましょう。

シングルマザー・シングルファザーの就労率

シングルマザー・シングルファザーはまずどのくらいの方々が働いているのでしょうか?最新の調査ではこのようになっています。

母子世帯 父子世帯
世帯数(累計値) 123.8万世帯 22.3万世帯
就業状況 80.6% 91.3%
うち正規の職員・従業員 39.4% 67.2%
うち自営業 2.6% 15.6%
うちパート・アルバイト 47.4% 8.0%

母子世帯では80%、父子世帯では90%を超える方が働いていますね。ほとんどのシングルマザー・シングルファザーは子育てをしながらも労働にいそしんでいます。

大きく違うのは、正規の職員であるか否かです。母子世帯の半数がパート・アルバイトであるのに対して、父子世帯は7割近くが正規です。収入や労働環境が異なりそうだと想定できます。

シングルマザー・シングルファザーの収入

まずは母子世帯です。働いている母子世帯の平均年間就労収入は正規の職員だと270万円、パート・アルバイト等では125万円となります。半数近くのシングルマザーの収入が200万をきることが分かります。

次は、父子世帯の平均年収です。

父子世帯の平均年間就労収入は正規の職員では426万円、パート・アルバイト等では175万円となっています。これは先ほどみた就労状況から自然に予測した通り、母子世帯の収入より高めの数字になりますね。

「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」から引用)

また、特に収入が少なかった母子世帯の預貯金額の状況は、約40%が50万円未満となります。子どもを養うのには少し厳しい数字かも、と思うのではないでしょうか。

「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題について」から引用)

今後必要となってくるお金

ここまでで、シングルマザーやシングルファザーの就労状況や平均収入をおさえてきました。次はどのくらい生活費や教育費がかかるのか、出費をみていきましょう。

生活費

まず子どもが一人の場合にかかる一ヶ月あたりの費用になります。

子どもといっても、小学校中学年ほどまでのお子さんを想像されるとよいかもしれません。

*生活費はそれぞれの環境に依存するので、必ずしもこれといった数字ではなく、あくまでも目安です。

<子どもが1人の場合>

家賃…50,000円

食費…30,000円

光熱費…10,000円

通信費…10,000円

日用品…5,000円

レジャー・交際費…10,000円

子どもの習い事…10,000円

衣類…5,000円

保険…5,000円

給食費…5,000円

医療費…5,000円

計145,000円

 

家賃は、首都圏の路線でも一番安い駅の平均相場程の金額です。

食費は、大人一人あたりの相場をそのまま引用し、節約等でかなり左右するところになります。保険、給食費、医療費などは削りにくい箇所ですので、それ以外で費用を抑えていけると、より数字が小さくなりますね。

次に、子どもが二人の場合にかかる費用です。

<子どもが2人の場合>

家賃…60,000円

食費…40,000円

光熱費…20,000円

通信費…15,000円

日用品…5,000円

レジャー・交際費…15,000円

子どもの習い事…20,000円

衣類…8,000円

保険…5,000円

給食費…10,000円

医療費…5,000円

計203,000円

 

費用が倍になるというよりは、食費や交際費、通信費などが人数分金額が増加すると考えると、三人目以降の計算がしやすいかもしれません。

こういったように、生活費がひと月あたり約15~20万と考えると、年に180万~240万かかることになります。

例えば全体のうち半数ほどになるパート・アルバイトで生計を立てているシングルマザーの平均年収は125万円です。単純な収入だけでは、生活費を支払いきることが難しいと分かります。

教育費

続いては教育費です。

高校生までに必要となってくる、一年にかかる費用はこちらになります。

公立幼稚園 22万3,647円 私立幼稚園 52万7,916円 

公立小学校 32万1,281円    私立小学校 159万8,691円 

公立中学校 48万8,397円    私立中学校 140万6,433円 

公立高等学校(全日制) 45万7,380円 私立高等学校(全日制) 96万9,911円

(「平成30年度子供の学習費調査の結果について」から引用)

生活費に上乗せされるとなると、いずれにせよ負担になる可能性が高いですね。

また、大学に通う際の費用もデータがあります。

公立大学 授業料53万8, 633円 入学料 39万3, 618円

国立大学 授業料53万5, 800円 入学料 28万2, 000円

私立大学 授業料90万4, 146円 入学料 24万9, 985円

(「国公私立大学の授業料等の推移」から引用)

やはり私立に通うと支払う金額も増えますが、すべて私立に通う場合と、すべて公立に通う場合とは一体どれほどの違いがあるのでしょう?

小中高大すべて公立 214万円

大のみ私立     242万円

高大で私立     293万円

中高大で私立    385万円

小中高大すべて私立 513万円

小学校から大学まですべて公立の場合とすべて私立の場合では、おおよそ300万円の差がありますね。教育方針によっては、かなりの備えが必要になってきそうです。

これまで子育てにかかる生活費・教育費をみてきました。これらの数字をもとに、いくらほどの出費が伴うのかを計算してみてると、現状が分かってくるかと思います。

<例えば>

子ども一人が公立小学校に通っている際の、親子含めた一年間の出費

・生活費
→子どもが一人いる場合の生活費をみて、12ヶ月分を算出する
→175万

・教育費
→公立小学校の一年間の学費を計算する
→32万

合計 207万円

これと収入を照らし合わせてみると、足りない金額が鮮明になってきます。シングルマザーの半数が年収125万円程なので、約80万円を何かしらの方法で補う必要がありますね。

今後の出費と収入が大体みえてきたところで、本題の養育費の相場を紹介します。

養育費の相場はコレ!期間や金額などの基準、増減するケースまで徹底解説

「かかるお金」の次に知るべきは「もらえるお金」です。次は養育費がいつまでに・どのくらい・どのような方法でもらえるか検証しましょう。

いつまで払うの?

気になる人が多いところですが、養育費はいつまで払う/もらうのでしょう?

実は厳密な年齢、期間の指定はありません。子どもに独立して生活していく能力があるかどうかで判断されるものになります。自立して生活できない子どものことを未成熟子と呼びます。

例えば大学生など成人済みの子どもでも、自身の収入で生活していなければ自立していないとみなし未成熟子となる場合があります。またその逆で、高校卒業後に就職した子どもは未成年であっても経済的に自立しているので、養育費を支払わなくていい場合があります。

一般的には、養育費の終期は成人(20歳)で取り決めを行いますが、進学・就労状況によって変化すると覚えておいてください。

またごくまれなケースですが、一括で払う場合もあるそうです。

どれくらい払う/もらうのか 養育費の相場は?

次に気になるのが、金額の相場になります。相場は、月2~6万、平均4万だと言われています。もちろんこれは平均なので、大差があるわけではありませんが状況によって金額は異なります。一般的に、こどもが15歳を超えると養育費は増えます。

基準って?

養育費の金額を取り決める際は、養育費算定表を参考にします。その名の通り、適切に算定されるよう示された資料となります。この養育費算定表は、以下のことが指標になっています。

<指標>
・子どもの年齢
・子どもの人数
・債務者(監護親、権利者)の年収
・義務者(非監護親)の年収

また、養育費算定表は2種類あることも知っておきましょう。以下が作成元と特徴です。

裁判所が作成したもの

メジャーに使用されている養育費算定表の制作元が、裁判所になります。2019年の年末に改訂され増額傾向にあります。

「裁判所」から引用)

日本弁護士連合会が作成したもの

こちらは、全国すべての弁護士が登録する法人である日本弁護士連合会が作成元になります。特徴としては、裁判所より多めに算出されるといったところです。裁判所より細かく各収入各費用を計算していますが、この算定表が裁判所であまり採用されていません。

(「日本弁護士連合会」 から引用)

今回は主に利用されている裁判所の算定表を用いて、場合分けで養育費がいくらほど算出されるか解説していきます。

まずは、どのような表があるかをみていきましょう。表は、子どもの年齢と人数によって分けられています。一覧がこちらです。裁判所公式ホームページに掲載されているものなので、照らし合わせながらチェックしてみてください。

子どもが1人の場合
①子1人表(子0~14歳)
②子1人表(子15歳以上)

子どもが2人の場合
③子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
④子2人表(第1子15歳以上,第2子0~14歳)
⑤子2人表(第1子及び第2子15歳以上) 

子どもが3人の場合
⑥子3人表(第1子,第2子及び第3子0~14歳)
⑦子3人表(第1子15歳以上,第2子及び第3子0~14歳)
⑧子3人表(第1子及び第2子15歳以上,第3子0~14歳)
⑨子3人表(第1子,第2子及び第3子15歳以上)

字で見ると少しフクザツですが、場合分けをしているだけなので自身にあてはまる状態をみつけましょう!

自身の子どもの人数、年齢に該当する表のリンクを見つけたら、それをクリックして開きます。

このような表がでてくるかと思います。

権利者と義務者の年収を照らし合わせると、養育費の目安が分かるようになります。

例として、
・14歳以下の子どもが1人いる
・非正規雇用のシングルマザー
・義務者が400万円の収入

の条件下で、シングルマザーがもらえる養育費を算出します。

シングルマザー(権利者)の給与は125万円、義務者の給与が400万円なので、表の当てはまる行、列をみます。図解の通り、2~4万円が妥当な金額だと分かります。子どもが2人の場合でも、倍額になるわけではありません。

以上のように養育費算定表は利用することができます。

また、養育費は増減する可能性があります。増える、減るの2通りに分けて説明していきます。

増える場合

①義務者の学歴・進学先
義務者の学歴によっては、生活保持義務が発生し養育費が増えます。義務者が大学まで進学していた時は、子どもが大学に通うだけの支援が求められます。

②子どもが比較的重度の病気になる
こちらも生活保持義務に当てはまります。子どもに医療費がかかることで一定の生活が保てなくなると、養育費が増額する場合があります。

③義務者の収入増加
これは養育費算定表をみると明らかですね。「義務者の給与」の値が大きくなるので、自然と養育費は増加します。

④権利者の収入減少
こちらも同様で、養育費算定表から、「権利者の給与」の値が小さくなるので、養育費が増えるようになります。

減る場合

①権利者の再婚
権利者が再婚した場合は、権利者の新しいパートナーが養うことができるので、義務者の負担は減ります。

②権利者の収入増加
増える場合の逆、と考えて良いです。「権利者の給与」の値が大きくなるので、養育費は減少します。

③義務者の収入減少
表の「義務者の給与」の値が小さくなるので、養育費は減っていきます。

さらに、養育費を支払わなくてよいケースもあります。

①子どもが就職した場合
子どもが自立して生活できるようになると、成熟したとみなし、義務ではなくなります。これはさきほども触れたように、未成年でも養育費を支払わなくてよい、あり得るケースとなります。

②義務者の自己破産・失業
義務者に支払い能力がなくなった場合です。これは、給与がないことを証明すべく源泉徴収票が必要になります。基本的に、養育費に関する取り決めには証明できる書類が求められます。

養育費には相場の金額やその基準となる養育費算定表が存在しますが、個々のケースにより増減し、支払い義務を果たさなくて良くなります。

必要以上のトラブルは回避しよう!養育費が支払われないケースと準備すべき書類

取り決めをしているのにも関わらず養育費を支払わなくなる方もいます。その際に活用できる手段はいくつか存在します。

養育費が支払われないケース(未払いが多い)

養育費は法律によって保障されていたり、裁判所が算定表を提供するなど公には守られている権利です。それにもかかわらず、実際には未払いが多いことも知っておきましょう。

例えば新宿区では、養育費を定期的にもらっているのは16.7%で、8割ほどの家庭では養育費は未払いのままです。

(「新宿区」より引用)

法律を無視して養育費を支払っていない場合は、主に3つの手段を取ることができます。

①任意の履行勧告

弁護士等に相談し、弁護士の氏名が記載された内容証明郵便を相手に送付しプレッシャーを与えるという方法です。こちらは相手に任意で養育費を求めるので、強制力がありません。

②履行勧告/履行命令

履行勧告、履行命令は家庭裁判所を通じて相手に養育費を支払うように連絡したり要請することができる制度です。家事事件手続法にも記載されていて、無料で行えます。こちらも任意の履行勧告と同じように、未払いのままでも無理矢理払わせるような力を持っていません。

この勧告の際に必要になる書類は以下の通りです。

・履行勧告申出書
・調停証書(養育費について取り決めをした証明)
・相手が義務を守っていない証明(通帳預金など)

特に調停証書や通帳預金などの証明が提出できない場合は履行勧告等ができなくなってしまうため、注意しましょう。

③強制執行

実際の効力を持ち合わせているのが、強制執行です。強制執行では、相手の資産を差し押さえることができます。①、②の手段を飛ばしてこちらの手段を取る方もいらっしゃいます。

大まかな流れは、以下の通りです。

債務名義の取得

「私には養育費を受け取る権利がある」という証明ができる債務名義を取得しなければなりません。債務名義には数種類あります。

  • 調停調書
    調停が成立した際に合意を記す書類のことです。こちらは離婚調停の際に作成されます。
  • 公正証書
    公証人が、ある人が法的に有意味な行為をした証明をしてくれるものです。協議離婚の取り決めは公正証書で残されます。
  • 勝訴判決書(判決正本)
    裁判所から交付される判決の写し書きのことです。
  • 審判書
    裁判所から出されるものです。審判は、調停が成立しなかった場合に行われます。
  • 和解調書
    裁判所の介入で和解案が出され双方に受諾された場合に証明となるものです。

このいずれかの書類が準備できれば最初の関門は突破できます。

相手の現住所の取得

次に、差し押さえる際に必要である相手の現住所をおさえましょう。教えてもらえない、分からない場合は以下の手段をとることができます。

  • 戸籍の附票を取り寄せる
    戸籍が作成されてから(または入籍してから)の住所一覧が掲載されている書類を取り寄せることで確認する方法です。
  • 住民票から転居先を調査
    離婚後に本籍を変更していると戸籍の附票では現住所を確認できないので、このやり方を使います。同一世帯者でないと本来取得できませんが、取得したい理由を主張することで開示してもらえる可能性があります。

住所を押さえたら第二関門も突破です

相手方の対象財産の具体的な把握

さらに、裁判所に財産開示を求めたり、勤務先を特定したりすることで具体的に何を差し押さえるのかを決めます。主に三種類、差し押さえられる財産があります。

  • 不動産
    相手名義の土地、家などの不動産を差し押さえることができます。
  • 動産
    主に、不動産を除いたものが対象になります。差押禁止動産である66万円に当てはまらない現金、貴金属などが当てはまります。
  • 債権
    元パートナーがもつ権利を差し押さえられます。例えば、元パートナーの勤務先から支払われる給与や、預貯金などが当てはまります。

詳細にどの財産をどれほど差し押さえるかを決めてから、最後に申し立てを行います。

強制執行の申立て

財産の種類ごとに、手続きが異なります。自身が差し押さえたい財産に合った手続きを行ってください。以下が手続き一覧になります。

  • 不動産
    →不動産に対する強制執行 不動産に関する情報取得手続き(改正民事執行法205条)
  • 動産
    →動産執行 給与債権に関する情報取得手続き(改正民事執行法206条)
  • 債権
    →債権執行 預貯金債権等に関する情報取得手続き(改正民事執行法207条)

最近改正された民事執行法では、懲罰も重くなりより義務者に養育費を支払わせるプレッシャーが強くなりました。支払いに応じない場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるようになりました。

このような方法で養育費を請求することができますが、証書の準備が不十分であったり法律で定められている時効を過ぎると養育費を受け取れなかったり手間がかかったりするなど自身の負担になってしまいます。また強制執行には大小あれど自身の出費も伴いますので、備えておくと良いでしょう。

債務名義がない場合は?

債務名義が獲得できていない場合、債務名義を取得するための証拠集めから始めなければなりません。もし養育費の滞納が多額になっていたら、依頼等で費用をかけてでも証拠を集めたほうがよいケースもあります。

このような方法が考えられます。

  • 財産開示手続き
    元パートナーを裁判所へ呼び出して、どのような財産を持っているか裁判官に示させる手続きです。こちらに応じなかった場合も養育費支払いに応じなかったのと同程度の罰則が命じられます。
  • 情報開示手続き
    裁判所を通じ、市町村や銀行などといった第三者に元パートナーの財産情報開示を求めることができます。
  • 探偵
    探偵事務所に依頼し、財産状況や住所、勤務先などの特定をする方法があります。依頼という形なので、費用が発生します。
  • 弁護士会照会
    弁護士を通じ情報の照会から証拠を集めていきます。こちらも依頼する形になるので費用が発生します。

債務名義がない場合だけでなく、現住所の把握や元パートナーがいくらほど財産を所有しているかが知りたいときはこういった手段を使いましょう。

離婚前の準備

もうお気付きかもしれませんが、離婚前に離婚後の手続きを準備できれば越したことはありません。特に債務名義は用意できると良いでしょう。協議離婚の場合は公正証書に、調停離婚の場合は調停証書、といったように自身のおかれた環境にあわせて揃えましょう。

また、養育費が支払われない、といった状況を回避するためにいくつかやっておいた方がよいこともあります。

  • 協議の時点でかならず養育費を話題に出す
    経済的な話は離婚を考えている関係では話しづらいかと思います。将来のことや子どもの生活を守るために、必ず話して取り決めを書類に残すようにしてください。
  • 義務者が定期的に子供と会うようにする
    また、取り決めをしていても、子どもと会わない年数が経過してしまうと養育費を払う意識が低減してしまいます。取り決めの際に子どもとの面会についても話しあい、実際に交流が残るようにすると良いでしょう。

別のケースで、未婚女性が相手に父親認知をもらえないために養育費をもらえない場合もあります。その場合には、先に認知調停、認知訴訟といった法的手段を利用できます。最終的には強制認知も可能ですので、深く調べたり専門家に相談することをおすすめします。

養育費について問い合わせたい場合は、以下の団体、プロに問い合わせられます。

・養育費支援相談センター
・法テラス
・弁護士・探偵など。

養育費以外の支援もある?どうしても相手から養育費を受け取れない場合の解決策

もし何かしらの原因で養育費が受け取れなくなっても、頼れる手段はまだあります。

国からもらえる支援

国からの支援を、カテゴリーごとに紹介します。

  • 似ている名前の手当

手当の中に、名称が似ているものがいくつかあります。間違えないように注意が必要です。

・児童扶養手当
・特別児童扶養手当
・児童育成手当
・児童手当

  • その他手当

・障害児福祉手当
・住宅手当・家賃補助
・医療費助成制度
・母子家庭の在宅手当

  • 給付・貸付

・生活保護制度
・自立支援訓練給付金
・母子福祉資金貸付制度

  • 免除

・税金の寡婦控除
・国民健康保険の免除
・保育料の免除や減額
・国民年金の免除

  • 割引

・粗大ごみの手数料
・上下水道料金の割引

  • 遺族年金 など

民間からもらえる支援

また国だけでなく、民間からも支援を受けることができます。

・電車やバスの割引制度
・養育費保証
保証会社が養育費を扱っている場合があります。

貯金の可能性

また節約や貯金など、自身でやりくりする手段もいくつかあります。

・家計簿をつける
・決まった額を積み立てる
・学資保険に加入する
・資産運用する

まとめ

ここまで養育費を守る権利や義務、シングルマザー・ファザーの収入、出費や養育費の相場、トラブルや養育費以外の解決策を紹介してきました。ここに書かれていることは、複雑な養育費事情の一部ですので、引き続き調べたり、自身の環境にあてはめてみてください。

一番大切なことは、かつてのパートナーを思いやりつつも、自身の生活を保持することです。監護親の苦労を考えずに養育費を払わなかったり、その逆に非監護親である義務者に不十分な証拠を提示したり過度な請求をすることはモラルハザードとなりかねません。

節度と証拠を保った状態で、子どもと元パートナー、そして自分を守るために、養育費の取り決めや請求を行っていきましょう。

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原一探偵事務所

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  • 人探し
  • 防犯
  • 素行調査
  • 結婚調査
  • ストーカー
  • 近隣トラブル
オススメ度
99%の高評価
料金
120,000円〜
浮気調査
参考価格
250,000円
対応地域
全国
所在地
埼玉県川越市上寺山2-1(本社)
受付時間
24時間365日受付可
定休日
なし

調査の基本はチームプレイ!年間相談件数5万件以上の成功実績を持つ老舗探偵事務所
さらに、電話での無料相談も24時間受付中! >>【0120-26-0134

創業45年を超える原一探偵事務所は、年間相談件数5万件以上の成功実績を持つ業界随一の老舗探偵事務所です。原一では調査の成功率を高めるため、常にチームで行動し、調査対象を隙なく監視します。他の事務所では引き受けてもらえない、または失敗した案件であっても、経験豊富な原一探偵事務所は、これまでに何度も解決に導いていきました。信頼できる老舗探偵事務所をお探しの方は、ぜひ原一探偵事務所にご相談ください。

新型コロナウイルスの感染症対策の一環として、テレビ電話での相談受付を開始!

【テレビ電話相談とは?】

  1. ほぼすべてのスマートフォンに対応しており、専用アプリのインストールや機能の追加は不要で気軽に利用できる!
  2. カメラのオフ機能を使って、顔は見せずに相談可能!
  3. 資料を見ながら対面と同様の環境で相談できる!
  4. 土日も対応、ひとりになれるタイミングができたときに相談できる!

原一探偵事務所の3つのポイント

  1. 探偵業界の3冠達成!
  2. 追加料金のない安心の料金プラン
  3. 創業44年の老舗探偵事務所

探偵業界の3冠王!創業44年の老舗探偵事務所

原一探偵事務所は、

 

  • 弁護士が選ぶ 料金トラブルが少ない探偵事務所
  • マスコミ関係者が選ぶ 結果を出せる実績ある探偵事務所
  • 調査してほしい日に調査してくれた探偵事務所

 

 

の3部門で第1位に選ばれた信頼性の高い探偵事務所です。特に原一探偵事務所のオススメポイントとして、「安心の料金体系」と「ベテランの腕」が挙げられます。

まず料金体系ですが、現在の探偵事務所は全国的に料金トラブルが発生しており、国民生活センターには年間7000件以上の電話相談が寄せられているようです。その点、原一探偵事務所は、「見積り以上の追加料金が一切発生しない」ことを約束しています。このような安心の料金システムが、原一探偵事務所の信頼性につながっているようです。

また、創業45年の老舗探偵事務所である原一には、経歴20年を超えるベテラン調査員を含め、大勢のスタッフがいます。そのため、小規模探偵事務所にはできない「チームプレイ」が可能となり(たとえば、尾行がバレそうになったら別の調査員に交代する等)、調査の成功率が極めて高いことでも有名です。

質と安全性の両方をお求めの方には、原一探偵事務所がオススメです。

料金表

調査料金
80,000円~ / 日
基本料金
40,000円
浮気調査参考価格
250,000円

原一探偵事務所の料金には、

  1. 調査時間・日数
  2. 調査員人数・調査機材代
  3. 報告書作成費
  4. 調査車両料金
  5. 諸経費

が含まれます。追加費用は一切発生しません。

あい探偵

  • 浮気調査
オススメ度
92%の高評価
料金
2,500円〜
対応地域
全国
所在地
東京都港区南青山2-2-8(東京本社)
受付時間
10:00 - 20:00
定休日
なし

業界最安値×弁護士推奨の不倫調査特化型探偵事務所

あい探偵は創業24年を誇る中堅探偵事務所であり、浮気・不倫調査に特化した探偵社でもあります。その調査実績は80,000件を超え、圧倒的な調査能力・証拠収集能力で話題を呼んでいます。あい探偵は調査後のフォローも徹底しており、多数の弁護士と提携することで、クライアントの離婚問題も手厚くサポートしてくれます。しかも料金は業界最安値の1時間2500円。さらに完全成功報酬型なので、安心して利用することができます。

あい探偵の3つのポイント

  1. 業界最安値1時間2,500円!
  2. 不倫・浮気調査に特化した探偵事務所
  3. 弁護士も推奨する安心のサービス

業界最安値の1時間2500円!弁護士推奨の探偵事務所

あい探偵は創業24年、約80,000件の実績を持つ中堅探偵事務所のひとつです。あい探偵は浮気・不倫調査に特化しており、不倫調査の証拠収集力は探偵社の中でも特に優れています。

あい探偵の特徴は、多数の弁護士と提携していることです。そもそも浮気・離婚調査は、調査のみで完結する問題ではありません。むしろ調査結果が出てからが本番であり、クライアントは人生の大きな岐路に立たされます。

あい探偵は弁護士やカウンセラーと強く結びつくことで、クライアントの精神的なフォローをしつつ、法的措置が必要になった場合に備え、弁護士のサポートも受けられる体制を整えています。

このような調査力・充実したアフターフォローを備えているにもかかわらず、あい探偵の料金は1時間2500円と業界最安値を記録。さらに完全後払い制を採用しているため、安心して利用することができます(通常後払い制の探偵社は料金が高くなるため、あい探偵の対応は異例中の異例といえます)。

浮気・不倫調査の依頼をしたい方、さらに精神的フォローや調査後の法的アドバイスを受けたい方は、ぜひあい探偵をご利用ください。

料金表

調査料金
2,500円 / 時間(税別)

あい探偵の料金は、「完全成功報酬制度」かつ「料金完全後払い制度」を採用しています。調査が成功した場合のみ料金が発生し、またすべて後払いとなるため、着手金の発生はありません。また追加料金の請求もないため、事前のお見積金額以上の料金も発生しません。

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